hanaのひとりごと

雪国のヒール

先日、大学生の女の子から、なかなか痛快な話を聞いた。

冬休み、彼女は志賀高原にスキー合宿に行っていたそうだ。

ホテルに泊まり込みでバイトをしながらスキーも滑るという、若者らしい、なんとも贅沢な冬の過ごし方である。

そのホテルで一緒に働いていたのが、数人のおばあちゃんたち。

最初はてっきり地元の人だと思っていたらしい。

志賀高原の冬だ。雪国の人は強い。そういうものだと思ったのだろう。

ところが聞いてみて、彼女たちは驚いた。

そのおばあちゃんたち、

青森から出稼ぎに来ている80歳過ぎの女性たちだったという。

しかも、その働きぶりがすごい。

大学生たちが思わず目を丸くするほどよく働く。

配膳では御膳を何個もまとめて持って、スタスタ歩く。

その足取りは軽く、動きも実に手慣れている。

若い大学生たちの方が、むしろ圧倒されていたらしい。

ある日、仕事が終わって

「みんなで近所の店にご飯を食べに行こう」

という話になった。

ホテルのエントランスに集まると、大学生たちは当然、完全装備。

雪道だからスノーブーツである。

ところが、そこに現れたおばあちゃんたち。

普通の靴。

しかも、5センチくらいのヒール。

志賀高原の真冬の夜である。

思わず大学生が聞いた。

「ヒールで危なくないですか?」

すると、おばあちゃんは、こともなげにこう言ったそうだ。

「青森なめんじゃねえ。」

いやあ、かっこいい。

80歳を過ぎて青森から出稼ぎに来て、

大学生より元気に働き、

雪道をヒールで歩く。

世の中にはいろんな「強さ」があるけれど、

本当に頼もしいのは、たぶんこういう強さなのだと思う。

そしてふと考えた。

日本がまだなんとか持ちこたえているのは、

たぶんこういう人たちが、どこかで今日も働いているからなのだろう。


※画像はAIで作ったイメージ画像です

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