子どもの読書感想文をAIに書かせて、そのまま提出する——なんて話を聞いた。
いやはや、「便利」という言葉もここまで来たかと苦笑いしてしまう。
便利になればなるほど、人間の中に眠っていたはずの能力は、ひとつ、またひとつと静かに眠りにつく。
昔は電話番号を50件くらい覚えていたものだが、いまやスマホなしでは親の番号すら危うい。暗算も然り、知識の積み重ねも然り。気づけば、考えることも計算することも「外注」するようになっている。
さらに言えば、腹筋マシーンなるものにお腹を預けてブルブルしているうちに、筋肉がついた気になっている人間までいる。動いているように見えて、じつは動いていない。これこそ人間の退化の見本市だ。
そのうちロボットに運動させてやった気になってブクブク太ったりして
岡本太郎が「太陽の塔」を建てたとき、万博のテーマは「人類と技術の進化」だった。だが太郎はそこに皮肉を込めた。「技術は進化しているが、人間は退化している」と。
——なるほど、彼の目にはこの未来がすでに見えていたのかもしれない。
この先、僕らは「便利」のしっぺ返しを食らうか、それとも「便利の奴隷」として生きるのか。
どちらにしても、人間の知恵と力は試されている。
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